突然、「会社のトップが緊急メールを送ってきたのでどう対応したら良いか」という連絡と対処の依頼を受けました。解説を交えながら、実際の対応を説明します。
ことの発端は、このメールです。
会社のトップの名前、役職、住所などのフッターが入った、かなり巧妙なメールです。Gmailから送られていますが、一見すると、本人かどうか判断できません。ちなみに、この時点で、本人に直接確認して偽物だということはわかっていました。
早速、この偽物の会社のトップと遊んでみることにしました。
メールのヘッダー情報を見て、Gmailから送られているものなのか、怪しいメールサーバから送られているのかをチェックしたいのですが、そのためには、本人から直接メールを受け取る必要があります。そこで、架空の名前で直接問い合わせをしてみました。
なんと、本当にお困りのようで、1分以内に返事がきました。
直接返事が来ました。要約すると、
「今、会議中で電話が使えないので、あなたにお願いしている。病院にいるガンの女性患者たちにeBayのギフトカードを送ってあげたい。近くの店で買ってもらえないか?後で払い戻しはする。」
という内容です。ちなみに、私ならeBayギフトカードよりは、現金かVISAカード、それがだめなら、Amazonギフトカードがうれしいです。
大きなフォントにびっくりです。本人の写真まで使うという用意周到ぶりです。本文中の私の名前の部分だけフォントが違います。おそらく、コンピュータの自動メールか、もしくは、すでにテンプレートを準備していて、名前のところだけ、コピー、ペーストしたのではないかということがわかります。
Gmailの場合、”Show Original”というメニューがあり、メールのヘッダー情報を見ることができます。ちなみに、これが解析結果の一部です。
どうやら、普通のGmailへログインして、そこからメールを送っているようです。それが人なのか、機械なのかはっきりしないので、わざと名前を変えて返信してみました。
会議中で電話が使えないと言われているのに、わざと「電話かテキストでお願いします。」と、とぼけたことを言ってみました。私がボスならこんな部下は首にしています。
しばらくして、詳細が送られてきました。それにしてもこのフォントの大きさは、怪しいです。
内容は、
「100ドルのeBayギフトカードが5枚ほしい。買ってきたら、裏面のスクラッチをはがして、番号だけ私に送ってほしい。500ドルの払い戻しも、忘れずに催促してくれ。」
といった感じです。ここでも、本文中の名前の部分だけフォントが違います。多分、すでに準備している文章に貼り付けて使っているんでしょう。
さて、ここからちょっとコンピュータに詳しくないけど、一生懸命頑張る従業員を演じてみます。こんなメールを送ってみました。
eBayギフトカードの画像を探して、メールに5枚貼り付けて、送ってみました。私がボスなら、こんなアホはもう相手にもしません。
さてここで事態が変わります。メールの本文のフォントが変わりました。おそらく、この時点で、個別に文章を書いていると思われます。
こんなアホな従業員をまだ信頼してくれる素晴らしい偽ボスです。ちょっと面倒くさくなってきたので、この頼まれごとを架空の同僚に頼んでみました。
仕事用のメールアドレスへ送ったとなると、どう返事するのか、わくわくします。
突っ込みどころ満載の返事がきました。
「今会議中なので、仕事用のメールアドレスは確認ができない。だから、このアドレスに送ってくれれば、すぐに女性たちに送ってあげられるんだ。」
ということですが、私用のメールアドレスは会議中に使えて、仕事用のものは使えないというのは、いったいどういう状況なんでしょうか。私のボスがこんな間抜けだったら、転職しています。
続き「メール詐欺師と遊メール詐欺師と遊んでみた(後編)」はこちらから。
One thought on “メール詐欺師と遊んでみた(前編)”
Comments are closed.